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野中の清水
野中の清水(のなかのしみず)は、継桜(つぎざくら)王子の真下、旧国道沿いに涌き出ている清水です。
日本名水百選のひとつにも選ばれています。
野中坂巻山の中腹は、水に不便なところであるのですが、昔からここだけは、どんな日照りにも水が涸れることなく水が湧き出していました。
清水は道下の養命寺の近くを流れ、野中川に注がれています。
現在も簡易水道の水源として、 地元の人たちの貴重な飲料水・生活用水として使われています。
比曽原王子から曲がりくねった国道をたどると、旧道と新道の分岐に出ます。
下方の国道への坂を背に、上方の旧道を進み、道沿い左側に大きな森と鳥居が見えてきます。ここが継桜王子です。
野中の清水は、古の時代から、熊野詣の旅人の給水ポイントとなっていました。
ここを訪れた旅人の多くが、湧水との縁を歌枕に数々の歌や句を残しています。
松尾芭蕉の門人、服部嵐雪(はっとりらんせつ)が、宝永2年(1705)に仲間7人とともに伊勢と熊野を詣でたあと、田辺方面に向かって歩いていく途中、ここに立ち寄って句を詠みました。
「すみかねて道まで出るか山清水」
歌人 斎藤茂吉もこの清水に魅了され、昭和9年にこの歌を詠んでいます。
「いにしへのすめらみかども中辺路を 越えたまひたりのころう真清水」
また、野中の一方杉(のなかのいっぽうすぎ)と呼ばれる、国史跡、県指定天然記念物の、樹齢800年の杉の巨木群が立っています。
老木の空洞は、優に20人の大人が入れるほどの広さがあり、10本近くあるうちの最大のものは幹の周りがおよそ8mもあります。
みな同じように、すべての枝が南の方角、すなわち那智山の方角を指しているといわれ、熊野那智大社を慕うように枝を伸ばしています。
この不思議な現象は、生物の生態を知る上でも貴重なものと言われています。
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