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仏教とお寺について
日本では、仏教徒の数が最も多い、と言われます。
しかし、これも正確な言葉ではありません。
日本のほとんどの家庭では、ご先祖さんの葬儀や法要の際には、檀家のお寺に仏教式法要のお願いをします。
けれど、その大部分の人は仏教の教義や教えには全く興味を持っていません。
大部分の日本人が、葬式の時だけ仏教徒です。
これが俗に、『日本の仏教は葬式仏教』と言われる所以です。
仏教はどのように生まれたのか?
仏教とは・・・
紀元前5世紀頃に古代インドで生まれた、釈迦=ブッダ(本名ゴータマ・シッダールタ)の教えで、
簡単に言えば、
『この世を生きることは苦の連続だ。苦しみを取り除くには「悟り」を開いて解脱をするしかない』
というものです。
釈迦=ブッダは小さな国の王族の跡取りだったのですが、29歳の時に、
『人の人生にはなぜ、必ず「生・老・病・死」があるのか?』
と悩み、自分の家族や王族の地位をすべて捨てて、人生の真理を得るための修行に出ました。
そして、釈迦はついに、約6年の苦行の末に悟りを開き、この世の真理を得たといいます。
その真理を弟子や大衆に教えたのが仏教の始まりです。
けれど、仏教のことを簡単に説明するのが難しいのは、結局はブッダの教えをその後広めていく段階で、弟子たちが意見の違いから分裂を繰り返し、各地で教えが様変わりしながら伝わっていったからです。
また、仏教はそのように各地の土着の信仰と融合できるような、応用力のある教えでもありました。
インドから中国に広まる段階で、仏教は中国の道教や儒教の思想が取り入れられ、大きく変化しました。
その中国式仏教が日本に伝わってからも、大きく日本風にアレンジされました。
また、日本の仏教内でも分裂を繰り返し、多くの日本式の新しい仏教宗派ができました。
日本に仏教が伝わったのは6世紀中ごろ。
当時の日本人は、死後にどんな世界が待っているかについては何のイメージも持っていませんでした。
極楽や天国、地獄という考えは、その頃はまったくなかったのです。
そこへ仏教が伝わってきて、死後には安らかな世界と苦しみの世界があり、安らかな世界へ行ける方法を仏教が具体的に教えてくれたのです。
この教えが、貴族や豪族の心をとらえ、あっという間に民衆にも広がりました。
仏教の教え
仏教では、生命は輪廻するもの、と説かれています。
輪廻とは生まれ変わることですから、一見素晴らしいことのように思えますが、じつはそうではありません。
仏教では、生きていること自体が苦しみなので、生まれ変わるということは、いつまでも苦しみ続けなくてはいけないということなのです。
苦しみから逃れる道はただ一つ、悟りを開いて解脱すること、なのです。
で・・・
いったい、悟りとは何なの? ということになるのですが・・・
それがじつのところ、釈迦本人ではなく、お弟子さんたちが伝えた現在の仏教では、よくわかっていません。
言葉にするのが非常にむずかしいことのようです。
簡単に言うなら、
『自分からこの世の欲と執着を取り除くこと』
となりますが、釈迦の本当の教えはそれほど簡単なことではありませんでした。
それに釈迦は本来、亡くなった後の成仏や往生ということは説いていません。
釈迦は、現実世界の人の苦しみを取り除くこと、に集中して解脱の方法を教えていました。
釈迦曰く、『生きている間に悟りを得る以外に幸せになることはできない』のです。
だから死後の話など、しても意味がないということでした。
輪廻の考えも、古代インドのバラモン教から影響を受けています。
釈迦は幼いころからバラモン教を信仰していました。
このように、現在広まっている仏教は、当初、釈迦が説いた内容とは違う教えが広まっているということは否定できません。
ちなみに仏教発祥の地インドでは現在、国民の75%以上が仏教ではなく、ヒンズー教を信仰しています。
その理由は、13世紀にイスラム勢力がインドに侵攻し、寺院を破壊し、以後、インドで仏教は衰退していったからです。
仏教は、各地で教義や形を変えながら、インド以外のアジアを中心に広まりました。
現在日本に広まっている仏教は、釈迦の説いた仏教本来の教えではなく、日本独自の、日本式の仏教となっているのです。